渋さを活かした水屋箪笥のチェスト-No.07

あれは随分と前のこと。3年か4年程前頃
飛騨古川から車で1時間程走らせて行った農村集落の古民家を見に行った時のこと。
屋根裏に上がると置いてあった随分と燻された佇まいの渋い水屋を目にした。一目で気に入って「もし、いらなくなったら譲ってくださいね」なんて図々しい事を言ってしまった。それがあの古民家訪問依頼、2年位い経とうある日突然電話をいただいた。

飛騨古川から河合町まで山々を超えて水屋のある古民家へ

数寄屋づくりの宿の食器棚にしようと当時から決めたいたが、いざ譲り受けて古民家から町(と言っても飛騨古川だが)へ持ってくると想像以上に大きい。長さも、奥行きも長い…

この辺りの飛騨箪笥など古家具の多くは、家屋の建築や改修の時に大工さんが一緒に作成したものが多い。その為、家屋の大きさやその家の奥さんに合わせて微妙にサイズを調整しているので面白い。生活様式の違いからだけでなく、そう言った背景の影響を受けてその古家具の大きさがあるのだが、今の生活には大き過ぎる。無理なく使って、空間に馴染むには、リサイズは重要な作業の一つなのだと思う。

元々の水屋は2段だったが、今回使うのは下の一段だけ。畳の生活でないので、下の段は膝をついて出し入れする必要はないので、棚を少し上げたい。そこで、新しく脚を取り付けスタイリッシュで洋にも合う佇まいに。

構造、面板などそれぞれ分解。そして、クリーニング。ここで大変なのは、隙間や木の割れ目に入っていた埃が本当多い。エアーや拭き取りで綺麗すると、今回は奥行きを狭めるため一部切断しました。

水屋をバラしてクリーニングとリサイズ

綺麗なった部材を再び組み立て、レールの部分は新調しました。やはり戸がスムーズに開け閉めできることは重要です。そして、中には食器などをいれる予定なので、清潔感を保ちたく新調メラニンの板を張りました。外は古く、中は新しいという二重構造です。

農村の古民家で燻された家具をリノベ
後ろ姿

上にのせた黒の鉄板がこの作品で一番のお気に入り。異素材が加える事で、素材同氏にコントラストが生まれ、木の年月と燻された風合いが活かされる気がします。黒鉄の天板がカフェぽく、オシャレに見えます。

黒い鉄板を組み合わせた天板